現場通信【ソイドク】について:ソイドクとは、ソイル(土壌)、ドクター(医師)の略です。
一般財団法人日本土壌協会の資格認定された土壌医(土壌医1級)の立場で北海道の生産者やその関係者に、旬な栽培技術情報や役立つ有益な情報を発信いたします!
投稿者:西の横綱 / 技術普及部土壌医 / 2022.7月
◆基本的な減肥の考え方
昨今の肥料高騰の中で減肥を考える生産者は多いと思います。減肥といえば土壌分析でも過剰の結果になりやすいリン酸、カリの低減が優先的に考えることが多いと思いますが、単純に過剰だから通常の半分の施肥量や無施肥にして硫安、尿素などの単肥でも良いという考えには注意が必要です。
掲載している写真は大豆のリン酸施肥量を慣行施肥基準100%、50%、0%で試験をした播種後1ヵ月の初期生育の結果になります。
リン酸施肥量に応じて生育量は明らかに異なることがわかります。50%、0%(無施肥)ともに慣行施肥と比べると葉が小さく、葉色も淡くなっており、特にリン酸0%(無施肥)では下葉も黄化して自己消化が始まっている状況です。こうなってしまうと追肥をしなければならず、また労力もかかります。
当試験はもともと土壌中のリン酸含量は少ない圃場ではありましたが、不足している圃場ではありませんでした。土壌分析で示される有効態リン酸はすべてが速効性ではありません。根が出す酸(根酸)で溶けだして初めて利用できる形態になるリン酸が大半ですので、特に初期生育時には意識的に根の生長を促して土壌中に蓄積したリン酸を使えるようにする必要があります。初期生育の根の生長に必要なリン酸量は作物、土壌によっても異なりますが、単純に土壌分析結果に問題がないから半分、無施肥でいいという考えはせずに最低限の必要量を施肥すること、水溶性保証の多い商品を選択することをお勧めします。
◆当社おすすめリン酸減肥銘柄
・Dd708(17-10-8)/秋小麦、ナタネの基肥向け
・DdS507(15-10-7)、DdS555(15-15-5)/園芸作物の基肥向け